あまり聞き慣れないパタゴニアが、今回のベア・グリルスが挑戦するサバイバル実践地だ。
今までの実践地の中でもベア・グリルスが人間は無力だと痛感し敗北感を味わう珍しい回といえる。
Contents
実践サバイバル、ベア・グリルスのパタゴニア前編~本当にあった怖い話も~
辺境の地・パタゴニア
太古の姿を残す世界有数の極寒地帯。 |
強風が容赦なく吹き荒れる。 「体力と静侵力」・・力を持つ者だけが生き残れる、最果ての地でサバイバル術を紹介する。 世界でも有数な氷と風の大地をパラジュートで降下する。 アンデス山脈の南に広がる氷点下の世界は南極とグリーンランドに次ぐ広大な大陸氷床。 救いになりそうな文明の影はどこにもない。 |
前代未聞のパラシュート降下
「(ここへ)僕が降下するのは前代未聞だそうです。(得意気なベア笑)視界も良好・タイミングを見て降下します」
わずかなミスで着地地点を大きく外れてしまう。しかしベア無時に降下成功する。
「スゴイ寒さです。耳がちぎれそうです。指の感覚もありません。パラシュートをしまい出発しましょう」
ベア持参する物・・最低限の道具?!と食料を持って出発だ!
ここでは自然の驚異が人間の命を奪う。足元には深さ1.5キロの氷原が2万平方キロ広がっている。
「南極とヒマラヤ山脈を足した様な所です」食料もなく、火も起こせず、下山だけが唯一の「生き残る道」・・ひたすら前進するしかない。
19世紀の探検家達は、ある神秘的な山を追い求めてここに来た。
先住民のマプーチェ族は『煙を吐く山』と呼ぶ。時折、その頂きを霧で隠すと言われているこの山・・
「フイッツロイ山」である。
1952年に初登頂されたチリとアルゼンチン国境にそびえたつ岩峰である。
その美しさに惑わされてはいけない。
ここは人間が立ち入ってはいけない危険な場所なのだ。
山の危険
雪崩とクレバス
「山頂を見て下さい。雪崩が起きました。危険です。かなり規模が大きい様です。離れよう」
雪崩は時速300キロ以上であらゆるものを呑み込むのである。
さらに周囲には「クレバス」がある。
「この美しい風景にも危険が潜んでします。氷河でできた巨大な氷の裂け目は、氷河の流れる力が巨大な氷を引き裂いた跡です。落ちたら大変です。さらに冬場には雪が積もる為、クレバスの見分けがつかないのです!」
しばらくして怪しい場所を足で掘ると「クレバス」が! そのまま気づかずに歩いていたら転落していた・・・
「ロープを張ります。僕は『エベレスト山』のクレバスに、落ちた事があります!」
「標高580mで足元の地面が避け、意識を失い宙づりになりました。ロープで命拾いしたのです。」
<クレバスでの対処方>
同行者がいればお互いをロープで繋ぎ、どちらかが落ちても片方が無事なら助けられる。
今回は同行スタッフとロープを繋いだようだ。
「しかし・・ロープがあっても地雷の上を歩いている様です」
実際に落ちたベアさん!
ずりーーー!
「驚きました。雪にパックリ口が開いています。ロープがあってよかったです。」
クレバスからの脱出方
「本音を言えば、二度と踏み込みたくは、ありませんが、『クレバスからの脱出方法』をご紹介します・・」(いつも体を張ってくれてありがとう。ベアさん(苦笑))
○「プルージック・ノット」結び(多くの人命を救う) |
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このプルージック・ノットを駆使し無事脱出するベアさんだが、ロープがなければ脱出は不可能だという。
さらにこの後は雪山の厳しい天候が待っていた。
年間の降雪量は900㎝を超え、南太平洋からの強い風が吹き込む。気象状況の悪さは南極点以上で「普通のサバイバル術は通用しない」
ベアさんのとっても怖い話NO1 |
70年代、ある飛行機がパタゴニアの北の山中に墜落した。 ラグビーチームを含む、乗客の内、生き延びた50人的確な行動をとった。 機体の残骸や雪で壁を作り寒さをしのいだ。 それがなければ-30度を下回る寒さに全員死んでいたでしょう。結局、救助されたのは二カ月後の事でした。 彼らが「生きのこれた」のは、人肉を食べたからでした。 極限の状況ではそれだけが、生き残る方法だったのです! |
シェルター作り
どこまで行っても平坦な雪原で、自然のシェルターはない。
「しかし、足元には有り余程の雪がある、雪は『保温効果』があるのです。この雪を掘って簡単な雪洞を作りましょう」
風から身を守る最善策・斜面に降り積もる新雪は簡単に手で掘る事ができる。
「子供なら喜ぶでしょうね!」・・と言っているベアさんも楽しそうだった(笑)。。
「雪洞を作るには」(著:ベア・グリルス)
雪洞を作るには、しっかり固められてはいるけど、掘るぐらい柔らかな雪と斜面が必要だ。
雪が十分積もっていることを確認したら、斜面を上向きに掘っていく。
入口を床と寝台より低くする事である。
寝台は入り口にたまった冷たい空気より高い位置に作り、パラシュートやリュックサックで断熱するとよい。
ベアさんの本当にあった怖い話NO2 |
数年前の事、チリの陸軍部隊が演習中に吹雪で立ち往生・・一晩で25人が凍死しました。 |
少しでも防寒対策に
しっこカイロ再び!
「雪山の夜には整理現象にも注意が必要」
登山家は「排尿瓶」を持参し、そこで用を足す。
「僕は空の水筒しかないのでそこに、シッコします。尿を無駄にせずカイロ代わりにするのです」
雪山での水分補給の仕方
「まずまず快適な夜でした」
雪山の天候はいつ急変するか解らない。冷えた体を温めて出発。雪山でも砂漠などと同様に「脱水症状」を起す事がある。
1時間に2ℓの水分を失う為、補給しないと数日で死に至る。
雪を直接食べてはいけない理由
冷たい雪を直接たべると唇や口内に水ぶくれができ、さらに体温も下がってしまうのだ。
「雪山に川はありません。雪をそのまま食べてはいけません。飛行機墜落事故の生存者達はこのまま食べたそうです。」
対策
- 水筒にできるだけ雪を詰めこむ。
- 肌に触れない様に服の間に水筒を入れる。
- 雪が解けるのを待つ。
「凍傷の恐ろしさ」
- 皮膚が赤く腫れる。放置すると患部は黒く変色し組織が壊死をする。
- 切断手術が必要になる。
「友達でスカッシュの最中で指が落ちた友人がいます。さらに別の友達は自分の足をのこぎりで切り落としました。凍傷の指にうんざりしていたのです。」
「凍傷で細胞が破壊されれば、再生する事はありません」
「凍傷の初期状態はしもやけ」
「僕も頬や手にしもやけを起した事があります。しもやけは免疫力が低下しているサインです。」
~しもやけの対処法~
常に指やつま先や顏を動かし、血行を促進する事である。
雪崩を起すベア?!
吹雪で視界はゼロ、方向感覚の失ってしまい、雪崩の感知も困難な状況化のベア。
「撮影斑も気をつけて。この辺りは雪崩が起きる条件が揃っています」
雪崩が起きる条件
- 積もったばかりの新雪
- 急斜面
- 強風
- (きっかけは人間が多い)
毎年200人の命を奪う雪崩、時に原因は『被害者』・・この尾根を深く積もった雪を使えば小さな雪崩を起せるはずです。
ベアの人工雪崩実験
- ロープで縛った荷物を埋める(体を支える)
- 斜面を下り、雪に溝を掘っていく。
小型カメラを靴の装着し、『生き埋め状態』を再現するベア。
「15cm埋もれるだけで、目蓋は動かせず、声をだすのも不可能です。」
「30分後には生存率は30%まで下がり、2時間で死に至ります。」
約45分かかり、カメラを見つけました。
わずか1mでこの威力です。実際には数百メートルに渡り、途方もない雪が崩れます。生存者の発見はまず不可能です。
「登山仲間にいつも笑われつんです。僕はポケットにはキャンディを入れてます。
(「いつもポケットにショパン」ではなく「いつもポケットにキャンディ」(笑)。)
「口の中で10秒程、舐めます。すると脳が栄養を得たと思い込みエネルギーを放出してくれるのです。これは『科学的に証明』もされています」
雪山での歩行方法
跳ねる様に走り、踵から着地する事。
勢いがついてスピードが増すから、早く下山できる。
「これが楽しいんです!」(どんな屈強でも楽しむベアさん・真の冒険家である)
天気回復し
「パタゴニアは息をのむ美しさです。僕が憧れていた山々は、期待通りの美しさでした!
キャッホーーーーー!」と叫ぶベアさんだった。
亜高山からの脱出!
下山の奥の手には、二つの方法。
- ひたすら歩くか。
- 空を飛ぶか。
(遭難状態では普通持ってないわなぁ~、最小限の装備じゃない・・・)
「飛びましょう!その為の準備も万端です。」
(まぁ、テレビなので絵的に映えるシーンがたまには必用だw)
「パタゴニア最高ーーーー!」も、つかの間ブナの森に不時着したベアだった(苦笑)。
パタゴニア南部の森は悪夢だった。ひとたび迷い込んだら脱出はできない。
鋭い棘に体を切り刻まれている様だ。押しのけてもキリがない。足にも絡み方角さえ解らない。
視界に入るのは木の枝と棘・・ブナの格闘は続く。
次の障害は泥炭地
「スゴイ臭いです。腐った植物が水面を覆っています。とにかく渡りましょう」
悪臭と冷たい水に体力が奪われていく。
「泥と氷で作った巨大なフローズンドリンクの様です。足はびしょぬれ・泥まみれです。体が濡れるのは非常に危険です。低体温症になる危険があるからです」
- 感覚の麻痺
- 意識不明に陥る
・早く陸地にあがり体を温める事、・・・ついに抜けた。
火を起す
木のコケ『老人のひげ』=糸の塊の様だ。
「しめった地面から離れた所に生えているためすぐ火がつくと思います。炎を見ると思わず笑顔になりますね!」
火の次は食料探し
池を探すとヒルムシロを発見する。見た目はクレソンに似ている。
「美味しくはないです。大量の殺虫剤をかけたサラダの様な味です」と言いながら、シャムシャム食べるベア(苦笑)。
甲虫の幼虫が2匹とミミズを発見!
「幼虫を落としました。あれ?どこにいったんだ?」(貴重な食料を失くすベア(笑))
・汚れを落としミミズを食べるベアさん。
「泥と粘液の味です。よく思うのですが、この味は捕食される生物の究極の仕返しかもしれません。それにしてもマズイ!」
わずかな食料でもここでは貴重な栄養源だ。休憩をとり、また前進するベアだった。
川を発見
「どの方向に進めばいいんだ?」ベアの方向感覚が鈍る。
- 単調な景色
- 目的の地平線もなくどこまでも森。
- 周囲に気を配り進む事
標高が約100m下がると気温は約1度上がる。ベア川を発見する。
「流れにそって進みましょう」チャウラの実を発見。
チャウラとは?
「酸っぱいリンゴの様で美味しいです。先住民マプーチェ族が好んで食べ、発酵酒も造れるのです」
「滝つぼに行きあたるベアさん!」
下は約45メートルはある。転落すれば終わり。
- 迂回する
- 崖を下るルートを探る
ベアは2を選択「僕の好きな方法です」
だが一歩間違えればかなりの危険を伴う。コースを誤ったり、落ちてくる水の水圧に飲まれれば終わり。
スーーっとスマートにロープを下りるベアさん。やっぱ「元・軍人」である。かっこいい!
「川を下ったおかげで山岳地帯を抜けた」
1、キツツキの巣を発見し木の登るベア。「何もありません」(残念!ベアさん)
2、キッタリアを発見。
”インディオのパン”とも呼ばれている。
「見た目はゴルフボール。前から食べて見たかったんです」(意気揚揚とするベアさん)
「ただ柔らかいだけで、味はしません。少し古いマッシュルームです。中は溶けたチーズみたいです」
(期待外れもあるさ!汗。ベアさん)
最後の難関
いかだを作ろう!
湖に直面するベア。周囲を見回すと、たくさんの流木が打ち上げられている。
「手製のいかだで横断しない訳にはいきません」やる気満々のベアさん(汗)
- 土台となる長くて丈夫な木を2本用意
- 横木をそこに二本結ぶ
- その上に板や木を並べていく。
- 支柱を二本建てパラシュートを張る
約3時間いかだの完成!もし壊れれば、冷たい湖にボシャンである。
もしものために火を起しておく
「地元のガイドの船が転覆し、3人が死亡した。おぼれたのではなく、湖の冷たさのせいで亡くなったのである。」
いざ!出港「ベア号」だが?!
「ちゃんと浮かんでいますが、ここは本当に”パタゴニア”でしょうか。風の名所なのに、風が全くありません」・・いかだが15cm沈んでいる?!
「氷のバケツに足を入れているようです。」
「湖を渡れるか疑問になってきました。」
「急激に体も冷えてきました。」
「もう足の感覚もありません。」
「湖を渡れそうにありません。」
「岸に戻ります!」
(木の間に足が落ちコケタベアさん汗)さぁーーどうする?
「泳ぎましょう!すでに足がしびれている。」
「上着だけは絶対濡らさない様にする事。」
「こんな経験は二度としたくありません」
- 腕や脚をこすれば心臓・内臓から暖かい血を奪う事になる。
- 冷たい血が心臓に流れ混むを死ぬ可能性がある。
- ゆっくり体を温め、体温が元に戻るのを待つ。
パタゴニア前編、まとめ
「パタゴニアの氷原と深い森で貴重な体験をしました。自分の無力さを痛感しました。自然の力に人間は遠く及びません。」
「パタゴニアの厳しい自然から、生還できたのはラッキーだったのかもしれません。」
BY:ベア・グリルス
今回は映像からはそれほど過酷さは伝わってこないが、よほど辛かったのだろうという最後の発言から感じた。
極寒か猛暑か?
あなたがベアの代わりに、もし送り込まれるとしたら、どちらを選択するだろう?