今回のシベリア後編では、最低気温マイナス67度、この地に居住し生き抜いてきた種族の教えを受け
- 「ヤクの解体」
- 「狩りの手法」
- 「シェルター作り」
等、多くの事を学ぶベアである。
サヤン山脈からの脱出やベアのオールヌード等々、オモシロさと過酷さに、懸命にチャレンジするベアの姿を見る事が出来る。
後編も絶対!期待を裏切らないベアさん。
前編のシベリアの地より南方面へヘリで移動し、まずは「南シベリア」を目指す。
Contents
実録!サバイバル「シベリア編~後編」正気か!?全裸で氷河を渡る?ベア!
約1300万平方キロに過酷な氷点下の大地へと、ヘリから飛び降りたベアさん。
体の力を抜き斜面を転げ落ちるが、着地は成功。
ヘリは飛び去っていく。
とにかく下山が最優先
身を斬る様な寒さ・マイナス30度の中、容赦なくベアの体力を奪い、命さえ危うくする。
「皮膚が切り裂かれる様な感じがします。わずかな鼻水さえも一瞬で凍ります。吸い込む空気も凍りそうです」
マイナス40度になれば、肺の空気が凍り、吐血を起し、そして死に至る・・状況である。
風があらゆる方向から吹き付けている。
とにかく平地に下りる事が先決である。寒さは変わりなくとも、少なくとも風は和らぐであろうと、必死に下山を急ぐベアさんだった。
空が赤み帯びる=北半球では天候が荒れる徴候である。
「夕焼けに羊飼いは喜び朝焼けに羊飼いは嘆く」と言われている。
朝焼けなら高気圧が通過し、夕焼けなら接近していると言う事である。
急ぐベアさんだが深い雪に脚をとられ容赦なく体力を奪っていく。更に行く手を「川」に阻まれる。
川を渡るときの注意点
川はほとんど凍結しているが、氷の下を水が流れている場所もあり・・・
「音が聞こえます。ここを渡るのは危険です」
そこで雪の積もった岩を利用するベア。
岩の上を飛び移り、川を渡るベアさん。しかし脚を滑らせると怪我・川に落ちる可能性もある。
(ヒョイヒョイ飛ぶベアさん)
「巨大なチェスの様です。道筋を読み氷と岩を見極めながら渡るのです。氷の下を流れる水の音が聞こえます。」となんとか無事に渡りきる。
体張ってます!極寒でフルチン姿のベア
この寒さでも体を使えば汗をかき、血圧が上がり、尿も増える~とベアさん、しかしこれが脱水症を起し、死の危険も多いに在り得る。
極稀に凍らない川もあり、流れが速い為凍結しないのである。
「これは飲み水になりますね。」と水筒に直に入れてゴクゴク飲むベアさん。
「雪は決して食べてはいけません。口が炎症を起こします。水を飲む様にして下さい。一気に飲めば急激に体温が下がり、ショック状態になります。」
少しづつ口に含み飲むのが理想です。
「水筒は凍らない様にリュックに入れて移動します」
そして更なる危機がベアを襲う。目の前には川が立ちはだかるのである!
全裸で川に飛び込むベア!?
迂回もできず、即決するベア「泳ぎます!」
寒中水泳をするときの注意点
準備)
- 服を濡らさない為にも、全裸になる。
- 服を入れたリュックを向こう岸に投げる。
失敗したら?)
- 数秒でショック状態に陥る
- 低体温症を起し、流れに飲み込まれ意識を失う
- 心臓が止まる=死である。
「足を入れてみます。冷たい!僕は正気か?!入り方はプールに入るのと同じです。でもここは1000倍も冷たいです。」
- 覚悟を決め、目標に向かって一気の行動
- 一瞬でカメラが凍りつく。
「僕の命を救ってくれるのが、乾いた服です」全裸で走り廻り、体を温める。
死の前兆)
- 低体温症になりつつあるベア・・「指先の冷えから、足の感覚がないです」
- 体の中心は何とか「体温」を保っているが、手足が冷えるのは危険である。
「股間も冷えきっています」と摩るベア(笑)。
つま先の感覚がなくなってきているベア。
「以前にも、凍傷にかかりましたが、怖い経験でした。徐々に体の感覚が奪われるのです。そして動く気力がなくなっていきます。」
「今は体を温めるのが先決です!パート―ナーがいれば相手の体温も利用できますが・・温まれ!」と足の指を摩り温めるベア。指先もしびれてきた?!
指が動かなくなったらブーツも履けず、紐も結べず、火も起こせない」だから常に指を動かし続ける。
撮影班にも指示を出す「動かし続けろ!決して止めるな!」
サヤン山脈を超える
再び、ベア移動し「サヤン山脈」に挑むベア。
人命を奪う危険な山脈。
今年すでに三人の学生が雪崩に飲み込まれ、登山者さえ命を落としている。「油断=死」につながるのである!
ベアの目の前に30m岩壁が現れた!
岩肌に雪が積もり、凍結した部分もある。ピッケルを使い登るベア。
「険しい岩壁では、慎重なルートの選択必要です」
教訓)
大切な事は決して急がず、雪をかき安全なホールドを見つける。平坦な場所で、少し呼吸を整える。
ここから先は「チムニー」を登る要領➡リュックで岩を押しながら、体を上へあげていく。
登りきったベアは、撮影班へ声をかける。
「僕の手を掴んで!ナイス。楽しかったです。頂上まで来ました。頑張ったな」やっぱり優しいベアさんだった。
「ベアさんの深イイ話」 |
第二次世界大戦中、捕虜になった若いドイツ人の話。 無実の彼にシベリアで25年間の強制労働が科せられた。彼は炭鉱で過酷な労働に1年間耐えたが、瀕死の体で脱出を決行。 そしてシベリアの冬を3度乗り切った。 彼は手に握った、銃弾を一つづつ1000歩ごと一方の手に移した。1000歩という目標を、この地獄からの脱出を成し遂げた。 この挑戦で困難に直面する度に、僕は彼の話を思い出すのです。 ここでは、氷点下の夜が続き、火もテントもない・・しかし、自由を求める強い気持ちがあれば、人間の精神力は持続するのです。 サバイバルとは肉体の戦いでもあり、精神の戦いでもあります。 |
軍人の知恵
上流に古いワイヤーを発見するベア。
「川の水が増える夏場には、これを使って荷物を対岸に渡したはずです。僕もこれを利用させてもらいます!」ベアさん軍隊式ロープ渡りの術を披露する。
「疲労が貯まるとバランスを崩してしまいます」
- 片方の足を振り上げ、肘と次に腕をかける
- もう片方の足で勢いをつけ体を起こす
精神力と同様に高い技術の習得も重要。
「これは太いロープ向きで、細いワイヤーは不向きですね(汗)」一生懸命に「股間」を摩るベアさんだった(笑)。
女性に解らない痛さだったのだろう・・きっと・・(汗)
シベリアを生き抜くトゥバ族
極寒の地に住む達人・トゥバ族
ベアは「トゥバ族」に会いに行く。
高さ45mの崖をロープで下る。前傾になって「懸垂降下」をして見せる。軍隊式の技術で「恐怖心」を克服するには、もってこいの技術。ベアさんは十分楽しんでいる(笑)。
○トゥバ族とは?
数千年、彼らは生存術を磨き、この地を生き抜いている。
居住はカバの木と鹿の皮の円形テントで、火を中心に備えた理想的なシェルターである。
彼らは遊牧民ではなく、ここに定住している。
最長老セレト(84歳)9人の子供と多くの孫までいる。
国境近い、彼らはモンゴルの血を引いている。「これから食事何を出されるのでしょう?」とベアは楽しみワクワク気分である(笑)。
○トゥバ族の食事とは?
料理)羊の内臓と血のソーセージ
「食料を無駄にするのは、精霊の怒りに触れる」と考え、内臓から血全てを、食糧有効に使った料理である。
「かなり塩気が強く、濃い味です。しかしサバイバルには最適で、カロリーが高く、ミネラルやビタミンが豊富であり、何口か食べて慣れてしまえば、味はなかなかの味です」
となんでもあり~のベアさんは、口に運んだ。
ヤクを殺して解体する
飼育されたヤクは、トゥバ族の生活に不可欠な存在である。
ヤクをしめる=殺す作業を最長老セレトから、任されたベアだった。
ヤクの血をすするベア
「食料が無い時の唯一の栄養源です。」
「生血はミネラル・ビタミン多くの栄養が、含まれているのです。」
「世界の多くの遊牧民や少数民族にとって、血は貴重なサバイバル食なんです。生ぬるく、しょっぱいです」
なんでもトライしてくれるベアさんだ。(汗)
○ヤクとは?
大型の哺乳類で、毛皮は上着や寝床に活用できる「トゥバ族」にとって貴重な動物である。
内臓を傷付けない様に、ナイフの背に指を添えるベアさん。
「解体」が長引くと「凍傷」の危険も潜むのである。
更に、ヤクの肉は凍り始めている。肉が凍るまで約20分、しかしマイナス30度の寒さでは、些細な作業も困難を極める。
「すでに指先の感覚がなくなりかけていますが、撮影班がせかすんです」(撮影班も寒いのである(笑))
「これが毛皮です!これは温かいですね!」自慢気に広げるベアさんだった(笑)。
ヤクの肝臓を食べるベア
「次は内臓ですね。スゴイ臭いです!」スゴイ顏をするベアさん(苦笑)。
かなりの重労働だが、その見返りは必ずあると「解体」を続けるベアさん。探すのはタンパク質豊富な臓器=肝臓である。
「鉄分を豊富に含み、血液をキレイにするとトゥバ族は信じています。生の肝臓は始めてです。暖かいのは、嬉しいですがとても『おいしい』とは言えないです」
(近くでトゥバ族が見守る中、『マズイ』とは言えない緊張感張り詰める雰囲気である(笑)。)
「取り出すのに時間はかかりましたが、栄養を補充できました。しかし味は好きになれません」(生の肝臓だ。無理もないだろう汗。ベアさん)
眼球を食べる?!ベアさん
最後に「トゥベ族」が食べるある部分を取り出す。眼球である。
「ステーキに匹敵する程、タンパク質を含みますが、食べるには『勇気』が必要です。」
(グリっと押し出し、手にとるベアさん)
「大きなビー玉の様です。どんな味なのか想像もつきません」
思いっきって口に運ぶが・・口からピューーと水モノが飛び出す。
「表現しがたい味です。とにかくマズイ!」
「まるで口の中で冷たい軟骨と血の塊が破裂したような感じです!」
「ヤクの解体で体は冷え、今にも(別の意味で(笑))吐きそうですが、出発しましょう」
トゥベ族の狩りを伝授
元気すぎて素手のトゥベ族の84歳
最長老セレトの狩りに同行するベアさん。
彼らは「狩り」に出る前に、寒さを和らげる工夫をする。➡猪の脂肪。
脂肪を顏に塗る事で冷たい風から守ってくれる。ベアもセレトのマネをして、顏に塗りたくる
「この強烈な臭いは、しばらく残りそうです。効果を期待しましょう」
トゥベ族の狩りには、馬や犬が使われる。獲物はリス・ウサギ・猪などである。彼らは周囲の地形を全て把握している。
更に『狩り』の技術も高い。
①動物の痕跡を探し
(クロテンの痕跡を見つけたセレト)罠を仕掛ける。
○クロテンとは?
イタチ科の動物、シベリアで多く見られる動物。食料と毛皮にも活用できる。
②鉄線の罠を仕掛け
その上に木の葉を乗せ、人間の臭いを消すのである。セレト(84歳)は素手で作業をしている。
現状マイナス30度。一方、ベアは・・手袋をしても、指の感覚が鈍りだしている。
「84歳のセレトには、驚くばかりです。トゥベ族の素晴らしいサバイバルの知恵は、父親から息子へと代々受け継がれるのでしょう。」
「セレトは狩りをしながら、歩いています。自信に満ち、穏やかで寒さにも動じません。」
シェルターを作ってくれた84歳
最長老セレトは、更に「シベリア風シェルター」を作ってくれる。
○基本はA型シェルター
セレトは帰り、一人残されるベア。
「火」をつけてベア大興奮(笑)。午後4時に陽が沈み朝の8時まで陽は登らない
~辛く長い夜~
気温は下がり体の熱は奪われ続けるでしょう。眠りに落ちれば二度と目が覚めない事もある。
「寒いです。気温マイナス30度です。今『耐久訓練』の様に指とつま先を動かしています。辛いです。楽しくありません。今はただ朝が待ち遠しいだけです」
まとめ
朝、シェルターは残して出発するベア。
渓谷の底、高い場所へ移動する。尾根の頂上へ向かうベアさん。
数百メートルごとに休憩するベア。途中、地面に落ちた「青い葉と茶色い葉」を見つける。
「青い方は食べられませんが(見向きもせずポイ捨て(笑))この茶色は、胃腸を整える効果があるんです」とパリパリ食べるベアさんだった。
先を目指し突き進むベアの前に険しい崖が行く手を阻む。
「岩壁に裂け目があります。あそこから頂上を目指します。合図を送れるはずです。」
草を掴み、低木を利用しながら登る。急な斜面だが順調に登っていく。
「直進するのは危険なので、ジグザグに登っていきます。」
「遠くから見える様に火を起し、煙を沢山出します。水分を含む木を火にくべるのです」
「ヘリです!」歓喜極まるベアさんだった!
逆さに吊られたり、おふざけしながらヘリで、飛んでいくベアさんだった。
今回の「シベリア編」を観て感じた事はベアさんの言った言葉
「サバイバルとは肉体の戦いでもあり、精神の戦いでもある」・・サバイバルと聞くと、「何それ?!今必要なもの?」と思われがちだが、今の社会を生きていく事、事態が「サバイバル」ではないだろうか?
時には肉体労働・精神的労働と我々、人間は「対応」していかなければ、生きていけない。
それと「戦い続け」そして、前に進む事ができるのではないだろうか。
どんな場所であれ、生きていくためには、時には「手段も選べない」やり方で、突き進むしかないのではないだろうか。
自分はそれを実践して、命を張って魅せてくれるベアさんの姿に、感動と深い想いを感じるのである。