ベア・グリルスの実録サバイバル、パタゴニアの後編だが、あまりにも危険な場所なので、装備はそれなりのものを用意して撮影している。
いつものような目標地点というものもなく、一通りサバイバル術を披露して撮影を済ますというスタイルなので、中には物足りたないという人もいるかも知れないが・・・
それでも、極寒の地での基本的な部分は押さえてあるので、何かしら得られるものはあるだろう。
Contents
実録!サバイバル「パタゴニア後編」ベア・グリルス一歩間違えれば変質者!?

ペリト・モレノ氷河とは?
ペリト・モレノ氷河は、一日に約2mも動き続ける世界でも珍しい『生きた氷河』と言われている。
マンハッタンの何倍もの広大な地に、パタゴニア特有の冷たい風が吹きあれている。
巨大な氷河を横断し、ここでの生き残りを賭けたサバイバル術を伝授する。
「まるでスケートリンクの上を歩いているようです。見ていて下さい」とベアは数歩歩くが、ずずっーーーとコケてしまう。」
「アイゼンなしでの踏破は不可能です。6mも進めないです。アイゼンがなければ代用します」
氷の上を歩くときは滑り止めに靴下が有効
ブーツの先に靴下をかぶせる➡抵抗が産まれゴム底だけの時より滑りにくくなる。
ベア「上出来です。遥かに歩きやすくなりました」
気温はマイナス20度まで下がる、しかし強風でマイナス40度にも感じるが前進するベア。
氷丘脈になっていて、クレバスもできている為、なかなか思う様な方向に進めない。
ベア、アイゼン使用する(危険すぎてアイゼンを使用)
起伏の激しい氷の大地が、2200平方キロも続いている。
ベアの目の前にクレバスが口を開け待ち構えている。渡れなければ回り道をするしかない。まるで『氷の迷路』である。
目標を定める事は、非常に困難な事である。
氷河全体が常に動いているからである。
ここはクレバスだけでなく、溶け始めた氷も危険だ=氷河おう穴を形成している。
氷河おう穴
「この氷河おう穴・暗く凍えた氷の裂け目の中に突入してみましょう。」とパックリ開いた暗闇の穴にロープを投げ込むベアだった。
水位が急に上昇する事もあるし、「かなりの恐怖がありますね」とらしくない発言もこぼれるベア。
「穴の底が暗闇でまったく見えません」
なんの道具も持たず一度滑り落ちたら、絶対に上がっては来られない。
『氷河おう穴恐怖の実話』 |
ある男がヒマラヤ山脈の、氷河おう穴で命を落とした。氷河を歩いているうちに足を踏み外し「おう穴」の底へと転落し二度と上がってこなかった。 |
この番組の良いところで有り、凄いところはとりあえずやってみる姿勢だ。今回は当然命の危険がおよぶのでロープとアイゼン、ピッケルの最低限の装備で挑む。
恐怖!氷河おう穴からの脱出実験
いち早くこの暗闇の穴からの脱出を試みるベアだったが、周囲の氷が驚く程固い。
おう穴に流れ込む冷たい水が、ベアの体を濡らす。ブーツの中にも水が入る。ピッケルが全く役に立たない=刺さらないのである。
ロープだけが、ベアの体をつなぐ「命綱」である。ロープが無ければ、すぐに地の底である。
アイゼンもピッケルもここでは意味を全く持たない。どうする?!ベア・・・
「頭が凍りそうです」
○手はかじかみ、足の感覚も薄れてきた。
ようやく地上へ脱出成功した。
「こんなに太陽の光がありがたいなんて思った事はなかったです。穴の中は闇と氷に閉ざされた世界です。もう二度とごめんです!」とベアは言い切った(そ~だよなぁ~汗)
サバイバルの基本中の基本
濡れた体は命に関わる!
「指の感覚がない!濡れた体を放置すればあっと言う間に「低体温症」になってしまいます」
ベアの裸踊り、場所が違えば立派な変質者だが・・・
- 装備を全て外し、水分を搾る
- 体を動かして温める
氷河では、乾燥地帯の三倍の速さで、体の熱が奪われる=冷えた体は『死』を意味するのである。
ベアは全裸になり氷河の中、フル○○状態で、10分間ほど走り回る。そして「腕縦臥せ」もする。
「今の僕を見たら変な人と思うでしょうね」笑うベアさん。
「パタゴニアの氷河で真っ裸になっているのですから(笑)」
※もし体が濡れたら、濡れたものを脱ぎ、体を温めるのが最優先である。
火を焚こうにも何もないのだ、運動して体を温めるしかないのだ。
<ワンポイントコラム> |
南極、北極、その他超高登山などでは普通に暮らす以上にもの凄いエネルギーを使う。 そのために持って行く食料は超高カロリーなものがほとんどだ。 日常生活では肥満を気にしてダイエット食品などを摂るが、極限では太るなんてことはない。 ハイカロリー食品は常識だ。 中にはメーカーと協力し、効率よく栄養が摂取できる高カロリー食品を自作し持って行く冒険家もいる。 |
「あったまってきましたーー!」服を急いで着て脱出する。
- シェルターもなし。
- 食料もなし・・ひたすら前進のベアだった。
こんな所にも生きものが!?
「見て下さいパタゴニアだけに住む、非常に珍しい昆虫です。寒さも、強風も克服している驚くべき生命力です」
保護されている昆虫だった為、ベア巣通り(笑)。
ベアさん本当はどんな味がするのか食べたかったに違いない。
マイナス40度・過酷なサバイバル!
さらに激しい起伏の氷山が行く手を阻む。
「行き止まりです。でも後戻りはしたくないので。この氷に溝を掘って、ロープを廻し懸垂下降で斜面を下ります。」
「時間と体力を浪費しても、障害は避けるのが基本ですが、貴重な時間節約の為、斜面を下ります」とベア。
このセリフから、こんな所そう見せ場もないし危険だしという心情が垣間見られるw
- ロープをかける為、溝を掘る
- ロープをかけベアの体に氷に耐えられるか試す。
- ロープをまたぎ、肩にかける
- 態勢を整えたら降下開始する。
「氷柱を使う事により降下した時にロープの回収が早いのです。地面は見え始めましたが、足場は未だに不安定なままです」
さらに巨大な氷の穴が現われた。
氷河の下を流れる川が氷を溶かし形成された洞窟へ入っていくベア。
「まるで氷山の体内に入り込んだ様な気分です。居心地はよくないですね。数千トンの氷の塊が自分の頭上の上にあるんです。」
「いつ氷の天井が崩れるか予想もつきません。」
「しかし良い点もあります。水筒を満たす事ができます。しかし氷が崩れれば、命はありません。水が滴り落ちているのは『危険信号』なんです。」
「早く脱出しまよう!それにしてもキレイです。スーパーマンの隠れ家みたいです!」
(ある意味、ベアは「スーパーマン」かもしれない苦笑。)
この場所の撮影はここで終了。
ステップ地帯とは?
パタゴニア・ステップ地帯とは?
アンデス山脈の風下にある為、降水量はニューメキシコ州以下、さらに強風。
「日焼け」と「低体温症」が同時に起こりえる場所
- 吹き付ける強風
- 強い日差し
- 低い気温
ステップ地帯では『人の強さが試される』、その荒原の真ん中へと降下。パラシュートで降りる。
面積はカリフォルニア州ほどの約50万平方キロに広がる低木地帯・食料はなく、強風から身を守る術もない。
着地成功!休む間もなくベアは出立する。
「まさにここは地上の地獄ですね」
パタゴニアの冬は五カ月続き、太陽がでていても体はまったく温まらない。
風速53m・・家屋を破壊し人間を吹き飛ばす。
強い日差しと風が水分を蒸発させる。「何もかもか乾燥しています」・・植物パサパサ・砂も異常に軽い。
水を見つけるのがかなり困難、水を発見できるか、否かが「生死を分ける」境目である。
ベア殺菌しないで水を飲む
①周囲の丘:周囲のこの先は盆地・湾曲。
部分的の剥き出しの所が、色は濃く湿っている。わすかな水が貴重です。命のの水』です。
泉の中に溝を掘る
- 泉の中に溝を掘る
- 湧き水は飲める=そのまま飲むベア。
(本当煮消毒すべき所しないベアさん汗)煮煮消毒するのが上等手段である。
「緊急手段です」と爽やかに微笑むべるさんだった。
動物の排斥物ある「湖」では、そのままのみ『感染症』を起す危険があるので、必ず煮沸すること。
ベアさんは、いつも体を張っているので心配になってしまう、事実昆虫の毒に当たって下痢が止まらなくなる回もある。いつか記事で紹介したいと思う。
突然!目の前に岩山が!?
選択肢 ①登るか ②回避するか「登る事にします」とベア。高さ45m・・・
「父が言っていました。『不可能と決めつけるのは、登ってからだ』と」
※(いや、それでは遅いのでは?)汗
- 岩の裂け目を利用し、そこに拳をねじ込む
- 手の血流を戻しながら先へ進む
- 体重の半分が重要・全身に分散させる
- スタミナの配分も重要、ペースを考え焦らず態勢を整える事
そこはプロ、上手く登り切ったベアだった。
「ベア一言』➡「疲れましたが、気分は最高です!」
ガウチョと共にピューマ追跡!
パタゴニアのガウチョとは?
ピューマ狩りに出かけると言って馬に乗っているベア、画像が一気に飛んだ(笑)。
長年放牧を続けるガウチョ。
彼らはこの地の「サバイバル」に精通し、乗馬と狩猟の達人である。
今回は「ラウール」というガウチョと一緒に狩りをするベア。標的は「ピューマ」である。
~ピューマとは?~
狂暴な捕食動物で家畜に被害を与える。
その被害は甚大でガウチョの間では「指名手配」=ピューマである。
強風に雨、ベアは寒くて仕方がないが。ラウールは「ピューマ探し」で燃えている(苦笑)
ここは乾燥地帯だが、天候は非常に不安定ピューマ目当ての痕跡を発見した!
ピューマに襲われた家畜の骨が転がっている。
●ラウール直伝・ピューマに襲われた時の対処法
はったりをかます
背を高く見せ、大きな声を出し強い相手と思わせる事である。
ラマの骨が岩の下が、ピューマの好みの場所である。
「そう遠くない所にピューマがいる」ラウール。
「食べかけの子牛」=鼻から食べられ、腹部には鋭い爪痕。さらに内臓も食べられている。
ガウチョはこれを利用する
ベアが子牛の残骸をみているうちに、ガウチョのラウールはすでに皮を剥いでいた(笑)。
ガウチョはこの「食べ残し」から、馬具を作るのだそうだ。
ベアはラウールに話し『子牛の生肉」をもらう。
「固い肉です。呑み込めそうにありません。やっとです!(ゴクンと飲むこむベアだった)
ラウールの一言
「僕達は、生では食べません。焼いてたべますから、遠慮します」(笑)・・
「ヒドイです」とベア・・・(うむ、単純で良い奴だなベアさんw)
ステップ地帯での最後の夜
19世紀、入植者が放牧を行っていた。
しかし食料が少ない為、今では『無人の荒野』平坦な土地では、距離感に3倍の誤差がでる。
特に目立つ物のない場所で起こる。
湖が見える5~10分で到着しそうだが、実際には45分は、かかるだろう。
最後の晩・シェルター経験をする
夜の気温はマイナス26度。
サバイバルの最も、重要な事は・・
- 風をよけるシェルター探し
- 暖を取る為の焚き木集め
- 明るいうちに、行動する事
・乾燥したコケを岩からとる=火口に使用するテウェルチェ族もヨーロッパからの入植者も、このコケを使用した。
・焚き木も収集したベア
「ウサギの痕跡を発見したベア」
捕獲する方法とは?
- パラシュートの紐(大抵持っていない汗)靴紐でもいい。これを利用し罠を仕掛ける。
- 紐の片側を簡単な一重結びにする。
- そこに紐を通せば、罠の完成。
「沢山仕掛けました。念には念を入れて、ウシのうんちを手に、刷り込ませます。そうする事によって、人間の臭いが消えるからです」
- 沢山仕掛け成功率をあげる
- ウサギが必ず通る茂みの入り口に仕掛ける
- 地面から手の平ほどの高さに仕掛ける
- 木の枝を使って罠を支える。「明日の朝食を期待しましょう」とベア
シェルター=大きな岩場(風除け)
「年に一度は朝日を見ろと父が言っていました。その事が思い出されます」マイナス19度の寒さに耐えた体を温めるベア
●ステップ地帯だけに生えるマメ科の植物
「見た目は小さいシダですが、触るとベタつくのが特徴です。地元の人は風邪薬の治療に使います。僕はお茶に入れて飲みます」(やはり英国人。ティーがお好き(笑))
朝を向かえるベア
「クリスマスのプレゼントの様にワクワクしますね」・・ウサギの罠を見にいくベアだったが・・・
「朝食はお預けですね。ウサギは一匹もかかっていなかったです」
※(こういうのがドキュメンタリーらしくていい)
ひたすら前進するベア
「顏がちぎれそうです」とメギ科の植物の影で2分休憩する。
「人間が隠れるくらい成長する唯一の植物です。ガウチョはこの茂みをシェルターに使います。」
「この花は小さいですが食べる事ができます。」
「小さな花からわずかな水分とエネルギーを補給します」
行き止まり・斜面を滑り落ちるベア。
「これが楽しいんです!」と満足顏。そこで雨と雪解け水を運ぶ川を発見する。
川縁の茂みで食料探し
・根葉の若芽を見つけた
夏になると土の下でジャガイモくらいに成長、根を斬らないように、ナイフで慎重に掘り出す。
「おいしいです!例えわずかでも知識があれば見つける事はできます」
最後に
ベアの苦い経験
「究極のサバイバルテクニック」より。著:ベア・グリルス
氷河とクレバス |
前略・・・「私はエベレストの悪名高き「クンブ氷瀑」-巨大なクレバスの穴がハチの巣の様に開いた、大聖堂ほどの大きさの氷の滝・・で、クレバスに落ちた事がある。 朝早い時間だった。私達は高度5800mの所にいて、私は固い氷だと思ったところに足をのせた。 体重をかけたとたん、足の下にひびが入ったのが解った。
私がいる辺りの氷全体が崩れた。私か落ちただけでなく、一緒に落ちてきた氷の直撃を受けて、気絶した。 気がついた時には、ロープの先でゆっくりと体が揺れていた。 命が助かったのは、仲間とロープでつながっていたからだ。 「クレバスがどれほど危険で、恐ろしいものか」・・迂回しよう。 |
彼がこのように語っているのに、TVだからと実践してくれているベアの勇気に感服する。
今回も「氷河おう穴からの脱出」など、やっぱり「はんぱねぇ~ベア・グリルス」だ!
次回は、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか、期待大である。