↑でも書いたが、大海原へ出た途端今まで過酷以外の何ものでも無かった島が、優しいゆりかごのような存在だったことに初めて気が付くはずだ。
一旦海上に出てしまったら最後、その極端に狭い空間しか頼れるものはないのだから。
海では凪いでる時は凪いでる時で風もなく、潮の流れにただ身を任せ陽射しとの戦いになるし・・・
荒天の時は荒天の時でいつ水中へ放り出されるか分からない恐怖がある。
無人島では生き抜くためのマインドの事について、いかに重要かを説明したが、水平線しか見えない海の上ではマインドとかそういうものを、超えたところでの冷静な生存本能がキモになるに違いない。
とにかくとてつもない孤独と恐怖がいつも隣り合わせとなるのだ。
そんな状況にはなりたくないし、また現実的にはそうなる可能性は限りなく低いだろう。
・・・が、とりあえず想像の世界でサバイバルに挑戦してみよう。
Contents
無人島を脱出してからの漂流サバイバル
海洋冒険家の”堀江謙一”さんはご存じだろうか?
1962年5月12日深夜、出国許可なし、パスポートなし、無線機なし、GPSなし、水はビニール袋に20リットルほど入れて持参し西宮港を出航。
小型ヨット「マーメイド号」による西宮 ⇒ サンフランシスコ間(到達は8月12日)の(7000マイル94日間)太平洋単独横断航海に成功した人だ。
水20リットル、米40kg、缶詰200個を積んで出航した。水は20リットルでは足りず、航海中に甲板に降った雨水を蓄えるなどした。
世界中が驚愕したという。
その後、単独無寄港で世界一周航海やソーラーパワーボート、足漕ぎボート、生ビール樽を利用したリサイクルヨットなどなど・・・ 様々な冒険に挑戦し成功している。
しかし、これらは成功するために綿密に計算された冒険であり、決して無謀とかそういうことではない。
しかしめったに沈む事の無いヨットとはいえ、最大の敵は自分自身との戦いだったのではないだろうか?
その当時に本も出しており、後に石原裕次郎主演にて映画化もされているので一度見てみると心境が伝わってくるはずだ。
太平洋ひとりぼっち
日活100周年邦画クラシックス GREATシリーズ 太平洋ひとりぼっち HDリマスター版 DVD
さて、大海原を駆け抜けるため専用に設計され海に特化したヨットでさえ、太平洋を単独横断することがいかに凄い事なのか。
世界中から注目されTOPレベルの冒険家として一躍有名になるほどの快挙として取り上げられる事からも分かるとおり、無人島にあるものだけで作った筏で大海原を横断する事が、どんなに無謀な事かは理解できるはずだ。
3つの想定パターン
パターン1:救命ボート(難易度★☆☆☆☆)
大型旅客船から救命ボートで無人島へ辿り着いた場合は、ボートにはあらかじめ食料、水、蒸留機、通信機、発煙信号、GPSなどが装備されているが通信機とGPSはバッテリー切れもしくは故障という設定にした。
当然食料も水も底をついた状態だが、蒸留機は使えることとする。
島にある食料やココナッツやありとあらゆるものを乗せる事ができるので、かなり楽な部類に入るだろう。
構造上少々の嵐にも耐えられるだろうが、船内のあなたは船酔いに苦しみ嘔吐による脱水症になる可能性もある。
しかし、蒸留機があるかぎり水分補給は出来るので1ヶ月は余裕でいけるはずだ。
食料
水の心配がないというのは非常に心強い、問題は食糧だが水さえあれば1ヶ月は生きていられる。
が、やはり何とか食料は調達したい。
この手の救命ボートや膨脹式救命いかだには、釣り糸や釣り針など魚を取る道具が一式装備されているのが普通だ。
おそらくルアー(疑似餌)もあるので、気軽に釣りを楽しめばいい。
食料も手に入る状況なら数ヶ月は漂流しても生き延びられるだろう。
そして、孤独との戦いでは勇気付けてくれる本も搭載されている場合があるのでじっくり読んでみるのもいいだろう。
パターン2:ガスの抜けた救命いかだ(難易度★★★☆☆)
救命いかだにはガスで膨張させるゴムボートのようなタイプもある。
(出典許可協力:フォト蔵、たけちゃんさん http://photozou.jp/photo/show/429352/106853018)
今回はガスが抜けているものと仮定し利用する。
基本的に木材や浮力のあるものを無人島でかき集め、筏を作りその上にこのガスの抜けたボートを被せる形になると思う。
直接堅い木材の上で寝るよりは、はるかに寝心地はいいはずだ。
使えるものは何でも使って工夫しなければならない。
当然雨水を溜めたりもできる。
実際このような屋根にテントがついているものは非常にありがたい。
海上は強烈な陽射しと海面からの反射光で目や皮膚へのダメージは計り知れないものがあり、砂漠より過酷な環境といえるからだ。
砂漠ならまだしっかりと地面に足がついているので、船酔いの心配は無いし日陰や水を求めて自分の足で歩き移動する事が精神的な強みとなる。
・・・が海はそうはいかない・・・。
周囲は水だらけなのに、一切口にする事はできないという精神的苦痛がハンパではないだろう。
海水を絶対に飲んではならないのはご存じのはず、もし錯乱して飲んでしまったら腎臓に大ダメージが及ぶ。
乾きもハンパではなくなるので絶対に飲まないように。
なのでこのようなテントがあれば雨水を確保するのにもってこいのアイテムなのだ。
食料
もし、釣り道具がない場合は自作する必用がある。
とにかくあらゆるものを工夫して作るしかない。
例えば、この手の救命いかだ(ボート)には大抵懐中電灯くらいは備わっている。
その懐中電灯自体はすでに電池もなく点かないと仮定し(点いたとしても明かりより食糧確保が優先)、電池を支えるスプリングコイルなどは釣り針として使えそうだ。
レンズ部分で火をおこしたり、近くを舟が航行していたら太陽光を反射させて合図を送ったりできる。
糸は救命胴衣などの縫製をほどいて長くつなぎ1本にする、針の先に何かルアーの代わりになるようなものを付けて色々試してみるしかないだろう。
もし、うまく最初の1匹が釣れたらはらわたなどは釣りの餌となるし、骨の髄は栄養補給と水分補給になる。
尖った骨もうまく使えば釣り針になる。
沢山針がたまれば、それだけ魚を捕れるチャンスが増える。
入れ食い状態ならすかさずはらわたを取り天日干しにして、保存食として蓄えておく事もできる。
さらに、その天日干しした魚を狙って鳥が来たらすかさず捕まえよう。
鶏の脚に紐の輪がはまるような罠を仕掛け紐を引っ張って捕まえたり出来るかも知れない。
とにかく工夫することだ。
鳥は生でも食べられる、とくに胸肉は疲労回復には絶大な効果が見込める。
絞める時は首をひねるといい。
火がおこせるなら、焼いて余すことなく食べ尽くしたい。
脂は皮膚に塗ると日焼けから多少は守ってくれる。
余ったら釣りの餌にする、間違っても魚や鳥の余った内臓や血をすぐ近くに捨てたりしてはいけない。
1滴の血の臭いをサメは数キロ先から嗅ぎつけてやってくるからだ。
出来るだけ遠くの後方へ破棄する事。
厚さでクールダウンしたい時はサメやクラゲに注意し泳いでもいいが、必ずロープは握っておく事。
潮の流れは想像以上に速く、泳いで追いつけるようなものではない事を知っておこう。
うまくすれば2ヶ月は漂流に持ちこたえられるだろう。(あくまでも想像)
さて、問題はただの筏だ・・・
パターン3:ただのいかだ(難易度★★★★★)
想定は太平洋のどこか・・・。太陽はわりと真上を通過するので赤道付近。
なので暑い、当然水分確保はシビアになる。水の1滴は血の1滴となるだろう。
時には自分の尿も飲む事になるが、尿は飲んでも害は無い。
傷などにも尿をかけると殺菌作用がある。ただし新鮮な尿だ。
さて、救命筏のところでも説明したが釣り針は魚の骨などが使えるし、糸は・・・
そう、糸が無い場合はどうするか?
釣りは諦めて、銛で突く方法もある。
長い間無人島で暮らしてきたのだ、銛の一本くらいすでに作っているものと仮定しよう。
ある程度の期間漂流していると、いかだの底には藻や海藻やフジツボのようなものがこびり付いてくる。
これを魚たちが突っつきにきたり、いかだの影に入りに来たりするものだ。
そこを銛で狙う。
海中の魚は水の屈折により狙ったつもりでも、当たらないので屈折を考慮して練習するしかない。
バナナの葉
イラストを見てもらうと分かるように、帆はバナナの葉などで作っている。
これは日中なら日よけにもなるので、重要なアイテムだどんなことがあってもなくしてはならない。
なので、嵐が来たらすぐにたたんで飛ばされないような作りにしておきたい。
天候
地に足がついていて自力でなんとか移動できる場合のサバイバルなら、天候を素早く読み未来予測を立て実行に移す事ができるが、海の上で漂流してる場合は正直言って何もできない。
先ほどの帆を飛ばされないように対策を講じるくらいだろう。
いかだがばらけないように補強するとか、そんなところではなかろうか。
なので、遠方にどす黒い積乱雲が稲光を発しながら近づいてきたら、やる事はやって後は運を天に任せるしかない・・・。
何度となく苦難がおそい、精神的にも肉体的にも限界を超えそうになるかも知れないが潮の流れは止まる事は無い。
流れに任せていれば、必ずいつかはどこかの陸に到達する。
永遠に海上などという事はありえない、繰り返しになるが潮の流れは人が泳ぐスピードなどより遙かに速いのだ希望だけは捨ててはいけない。
いつか必ず陸に辿り着く。
希望の海鳥
もし数羽の海鳥が飛んでいたら、希望の印だ!
海鳥は沿岸部に巣を構える、陸地が近いという事だ。
そして、臭いに意識を集中させてみよう・・・今までの臭いとは違った懐かしい陸の臭いがするかもしれない。
慌てずそのまま潮の流れに任せ、水平線の先にある陸を確認しよう。
ここまで来たら、行き交う船舶の数も多い、鏡やレンズなど光を反射するものを用意しておこう。
おすすめ映画
「キャスト・アウェイ」
トム・ハンクスが“映画史上屈指の名演技を見せた”(ニューヨーク・ポスト紙)と絶賛された本作。国際宅配便会社フェデックスのシステムエンジニアであるチャック・ノーランドは、突如として平穏な生活を奪われる。飛行機事故に巻き込まれ、絶海の孤島に取り残されてしまったのだ。
主演: トム ハンクス, ヘレン ハント, ニック サーシー
Amazonプライム会員なら見放題!⇒「キャスト・アウェイ」
筏の特化型ゲーム
周囲は見渡す限りの海・・・ 狭い筏の上でサバイバルが出来るゲームがある。
「Raft」だ。
最初は漂流している材木など材料をかき集めるしかない、しかも水の確保に体力維持、サメの攻撃にも対処しながらの海上サバイバルゲームだ。
サバイバルゲームアプリとソフトを紹介、自宅でサバイバル体験!
まとめ
こんな極限状態になることは日本ではまず考えられないだろうが、他国では亡命や移民で多くの人たちがボートに乗りまさに無謀と言えるような現実が頻繁におこっている。
戦時中はドイツ軍の潜水艦Uボートに攻撃され、今回のような極限状態になり数ヶ月海上を漂流し助かったという人の記録も残っている。
さて、今回は赤道付近という想定だったのだがこれが極寒の海だったら・・・
想像もしたくないが厳しさは倍増どころの話ではなくなる・・・。
自分がそんな状況になったら、まず無理だろうとは思うが・・・(汗
だとしても、全く何も考えないよりはましだろうと・・・自分を慰めている。