「東京マグニチュード8.0」2009年7月にフジテレビのノイタミナで放送されたアニメ(全11話)。
「地震」をテーマとし、実際東京に大地震が起こったらどうなるか非常にリアルに描かれています。
主人公は中学1年生の女の子、小野沢未来。と、小学3年生の弟、悠貴。
弟の付き添いで、2人でお台場に遊びにきている際に、東京の大地震が2人に襲いかかります。携帯での連絡も取れず、家族と離れ離れになってしまいました。
そのとき、シングルマザーでバイク便ライダーの日下部真理さんに出会います。
方面が一緒ということもあって、困った人を放っておけないタチの真理さんは、2人に、「3人で一緒に行動して家へ帰ろう!
と言います。
帰路の道中いろんな出来事に遭遇しながらも、家族の元へ帰るために、長い道のりを必死に歩いていく物語です。
Contents
名作アニメ『東京マグニチュード8.0』の魅力に迫る!
東京マグニチュード8.0の魅力4つ!
①オリジナル物語
最近、漫画や小説のアニメ化が多い中、この東京マグニチュード8.0はそういった原作がない、完全オリジナル物語です。
ノイタミナで当時放送されていたのが深夜枠、しかもオリジナル物語は高視聴率を取るのが難しい中、災害系の物語の初回放送で東京マグニチュード8.0は5.8%という高記録を残しました。
当時、深夜アニメ=萌え系というイメージが進んでいた中では、こういったアニメは珍しく、なかなか出せる数字ではありません。
②素朴なキャラクターたち
キャラクターの作画を見るとどの登場人物たちも、とびっきり可愛かったり、カッコ良かったりしている訳ではなく、あくまで"そういう人、いそうだなあ"と思わせるような素朴なキャラクター設定になっています。
性格の面で見ると、主人公の未来は反抗期真っ只中で、親ともうまくいっておらず、大人に対しての不信感を抱き始めている頃です。
その世間の大人たちや日常の不満を携帯SNSに書き込み、友だちと共感し合う。
このようなことを1度は経験したことがある、または、そんな頃もあったなあと思い返すこともあるはずです。
また、物語の序盤の方で、未来と悠貴が口喧嘩するシーンが何度かあり、その兄弟の掛け合い1つ1つがとても共感できます。
これらのように、自己投影しやすいようなキャラクター作りをすることで、より物語のリアルさを実感できるのです。
③モノやシチュエーションのリアルさ
これはまず、OPでの絵が印象的でしょう。
様々な所に協力をお願いし、もし東京で大規模な地震が起こるとどうなるのか、を何度も細かくシミュレーションした上で描いていると、アニメが始まる冒頭の注意書にも書いてある通りです。
誰しも、この先起こるかも分からないことを綿密にそして、正確に描くことは不可能です。
しかしだからこそ、都心での大地震をリアルに近づけて描くことで、視聴者に地震の恐ろしさを訴えかけているのです。
地名や風景も現実のものにしているのもそのためです。
さらに、この物語では余震などの二次災害、電波状況や病院の様子についても描かれています。
ニュースでは端的にしか伝えられないことが、ここではしっかり描かれているので、多少の脚色はありますが、震災に実際遭った方は共感、経験したことのない方も、地震のあった後も被災した人は深刻な状況に置かれていたのだな、と実感するはずです。
④命の尊さを再確認し、家族の大切さ、思いやりのすばらしさを知れる
おそらく、まさにこのことこそが、この作品の一番のメッセージとして視聴者に伝えたいことでしょう。
この作品のHPにもある通り、「家族に会いたい、と初めて思った。」というキャッチコピーがそれを物語っています。
上記のあらすじの通り、帰路の間に3人はいろんな人と出会い、その中で様々な出来事が繰り広げられていきます。
もちろん怪我をしている人もいれば、亡くなっている人、あるいは、近しい人を亡くしてしまった人、また、赤ちゃんを抱えて子どもを連れている人や、おじいさんからおばあさんまで、本当に様々です。
そういう姿を目の当たりにして、登場人物それぞれがどう受け止め、どう思って行動するのか、そしてそれが自分なら、、と想像することが、このアニメを見るにあたってのポイントです。
アニメ「東京マグニチュード8.0」無料配信
現在Amazonビデオでは第1話が無料で鑑賞できます。
※(2話目から216円)
まとめ
人は経験したことのないことを、心の底から実感することは難しいです。
しかしその分、人は"想像する"という力を持っています。
「命の尊さや家族の大切さを改めて実感できる」というのは、戦争や災害ドラマやアニメを見た際、多くの人が口にする言葉です。
しかし、それはもしかすると、ただ1個人の感想に過ぎないのかもしれません。
つまり、自分は経験もしたことがないのに、実感した、というのは、本当にその恐ろしさを経験した人からすると、薄っぺらい感想になってしまうのではないかということです。
心の底から理解していないのに、簡単に「分かる〜」とか言うな!!と内心思っている人も少なくないのではないでしょうか?
本当にその通りです。
先ほども書いた通り、
人は、愚かなことに、経験したことがないと、心の底から感じること、苦しみを心から理解することが難しいのです。
もはや自分ではない人の感情そのものを、全部理解するのは不可能なのです。
だからこそ、想像し、自分に置き換えてみる作業が大事なのです。
そうすることで、完全に理解することはできませんが、その苦しみや悲しみに寄り添うことはできます。
経験することはできませんが、一緒に辛さを感じることはできます。
分かろうとしてくれている人がいる、と言うだけでも苦しんでいる人からすると、本当に温かく、有り難いものなのです。
「地震」がテーマになったアニメですが、それを抜きにしてもメッセージ性の非常に強い心に残る作品です。
しかし、近年、災害の件数が増えてきているのも、みなさんニュースなどでご覧になっていると分かると思います。
その度に、またか、、と災害を軽視して流してしまっている人も年々増えてきているのではないでしょうか。
最近の異常気象のせいもあり、我々の危機感が薄れてきているのは紛れもない事実です。
だからと言って、突然起こる自然災害は予測できないため、ずっと心構えしておくこともできません。
しかし、もし、何か災害が起こった際は、人生の教材として、この作品を思い出してほしいのです。
東京マグニチュード8.0を観たときの事、感情を思い起こすことで、これは他人事ではない、ということが再認識できるはずです。
そう思わせることができるだけでも、この作品を作り上げた価値やメッセージ性は非常に高いものだと思われます。
みなさんも是非一度、鑑賞してみてください。
(記事:mi_bstar)