(出典:「おはようサバイブ」”前原タケル”著 Kindle版)
「おはようサバイブ」漫画家”前原タケル”著の1巻が、7月14日に発売され早速Kindleで購入し読んでみた。
「ドラゴンヘッド」(望月峰太郎著)という漫画はご存じだろうか、こちらは天変地異によって文明が崩壊するのに対して今回紹介する「おはようサバイブ」は謎の病原菌によって文明が崩壊する。
そんな文明が崩壊した荒れ果てた中で若者カップルが、コミカルに健気に生きる希望を探しながらサバイブする物語だ。
Contents
漫画「おはようサバイブ」ネタバレ!都会で生き抜くためのリアル教本!?
”教本”とタイトルに入れたのには当然理由がある、初めはバカップルが荒れ果てた都会でたんに生き抜くためのサバイバルゲーム的な展開なのかと思っていたのだが、読み進めていくうちに緻密な計算の元ストーリーが組み立てられていることが解ってきたからである。
ただのバカップルではない2人の主役
2020年、南アフリカで発生したウイルス「デネブ」が全世界で猛威を振るいほとんどの人類が死にいたった。
(出典:「おはようサバイブ」”前原タケル”著 Kindle版)
閑散とした誰もいない荒れた果てた東京から物語は始まる。
こんな出だしだとさぞ北斗の”ヒャッハー”な世界観を思い浮かべる人もいるかもしれないが、ユメ(女子16才?)とナユタ(同い年?)の2人の主人公による情けなくもコミカルな演出から始まるので、中には拍子抜けする人もいるかも知れない。
彼女”ユメ”のキャラがのんびり屋さんで、荒廃した世界で有りながらもお洒落に対するこだわりは捨てていなかったり、かたや彼”ナユタ”はグーグー鳴るお腹のこの空腹をどうするか?という突きつけられた現実を真面目に考えている青年・・・というギャップが面白い。
このちぐはぐなカップルには実は生き抜くためのサバイバル知識や技術はほとんどなく、彼女ユメは生きる希望を失いかけていた。
が、彼ナユタの方は彼女が大好きなため「彼女のために生きなくては」という想いだけが生きる希望となっていた。
実はこの2人大型スーパーのコミュニティから抜け出してきていたのだ。
そのコミュニティにはユメの父親もいたのだが、ユメと父親とはうまくいっておらずユメが父親から逃げたくてナユタと外の世界へ来てしまったというシチュエーションだ。
コミュニティ内では食料も他の仲間も数十人いて安全も確保されていたが、大麻におぼれ偏った思想を押しつける父親に我慢がならなくなったのだ。
山手線車両のカップルとの出会い
空腹の二人は都内を移動中山手線の車両に住み込んでいるカップルと出会う。
そのカップルはその晩の食事をご馳走してくれたが、翌日からは自分たちで自分の食べ物は手に入れろと突き放す。
ナユタは生き抜くためのサバイバル術を教えてくれと頼み、馬の扱い方や銃の撃ち方などを学ぶ。
そして、秋葉原へ鶏を求め出向くのだったが”不良グループ”とかち合いユメの奪い合いなどへ発展することになる。
ユメ=人類の夢(希望)
なぜユメが男達に狙われる存在なのかと言うことだが、実はユメは3人目の非感染者であり、感染した人間は子孫を残せない子供を作れない体になってしまう。
(出典:「おはようサバイブ」”前原タケル”著 Kindle版)
しかしユメは非感染者なので子供を作ることが出来る、人類にとって貴重な存在だったのだ。
そして「マグメル」という組織はそんな彼女をずっと守る代わりに、人類のためにナユタではなく他の非感染者の男性と生殖活動をしてもらい子供を産んで欲しいと頼む。
が、ナユタは当然反対する・・・
当然彼女も反対するであろうとナユタは思っていたが、意外や意外ユメはその話に理解を示していたのだ。
ちなみにナユタは非感染者ではなく、感染はしたが回復したパターンである。
なので生殖能力は破壊されているもよう。だが、勃起はするらしい。
(ナユタは童貞を捨てるのはユメだと決めている)
感想
1巻の後半からナユタの存在が人類存続への希望まで膨らむ展開なので、ややサバイバル感はどこへやらという感じは否めない。
が、背景の書き込みやディテールの細かさ、キャラの構図などかなりのこだわりが感じられる漫画だ。
あと遠近感の表現が非常に上手い作家さんである。
北斗のようないかついヒャッハーキャラはほとんど出てこないし、このバカップルたちの顔つきが少女漫画タッチなのでかなりマイルドな世界観という感覚になる。
女の子キャラも可愛いので見た目のウケは良さそうだ。
あと、グロい死体や殺し合いなどの絵はほとんどないのでそういうのが苦手な人は安心して読める。
一部山手線カップルの女がマシンガンを乱射し敵対グループの一人に怪我を負わすシーンはあるが。
今のところ死者(主要登場人物で)は出ていない。
このあとの展開がどんな風に進むのか楽しみだが、やや不安も感じる。
子供を作る作らない、ユメを奪う奪い返す、敵対グループとのいざこざ・・・という事に終始しサバイバル感が薄れる方向なら私はもう読まないかもしれない(笑)
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